内科・漢方内科|横須賀市 久里浜
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2020.8.22

花屋さんの花と漢方

 漢方処方の中には、お花屋さんで売っているさまざまな花や、その茎、根茎が、生薬として活躍しているものが多数あります。

 まずは、桔梗。明智光秀や坂本龍馬の家紋としても有名ですが、秋の七草として、夏から秋にかけて美しい紫の花を咲かせます。

 この桔梗は、根茎に非常に強い化膿止めの作用があり、韓国では「トラジ」と言う名前でキムチの材料として食されています。

 桔梗は多くの処方に応用され、その名もずばり、『桔梗湯(ききょうとう)』は、喉の痛みや扁桃腺炎を治す妙薬です。

 飲み方は、お湯に溶かしてうがいをしながら服用します。『小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)』も扁桃腺の痛みをとる薬です。

 桔梗はその他にも、化膿止めの『排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)』、ニキビを治す『清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)』、化膿性皮膚疾患に用いる『十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)』、気管支肺炎を治す『清肺湯(せいはいとう)』、小児のアデノイド(扁桃腺腫大)に効果のある『柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)』、蓄膿症や慢性扁桃腺炎に効果のある『荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)』、皮膚の潰瘍の治療薬『千金内托散(せんきんないたくさん)』など、多方面で活躍しています。

 秋に咲く花といえば、があります。菊には、風熱を去り、目を明らかにし、清熱解毒の作用があり、古くから眼病に用いられてきました。目の充血に用いる『洗肝明目散(せんかんめいもくさん)』、網膜症に用いる『草竜胆散(そうりゅうたんさん)』、翼状片(よくじょうへん)に用いる『還晴散(かんせいさん)』、目も耳も遠くなってしまった時に用いる『杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)』などに応用されています。

 もちろん、スーパーで売っている食用菊も、ある程度の効果が見込めます。

 また、秋に咲く花といえば、竜胆(りんどう)です。竜胆には清熱燥湿、清肝瀉火、名目などの効果が知られています。

 下腹部が緊張して排尿痛や残尿感、尿混濁のある場合に用いる『竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)』や、腰痛・神経痛などに効果のある『疎経活血湯(そけいかっけつとう)』などに用いられています。

 今回は夏から秋の花を主に記載しましたが、その他にも、芍薬牡丹百合紅花クチナシあんずなど、多くの花の茎や種、根茎が漢方薬には利用されています。

 漢方薬を飲む時や処方を受ける時に、また違った目線から生薬の成り立ちを考えるヒントになるのではないでしょうか。

(院長: 小野村)




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